ゴッホの生きた人生 8
「ことに人物の素描は間接的に風景の素描に好ましい影響を与えてくれるのでいいものだよ。
頭を刈り込んだ1本の柳をあたかも1個の生きもののように描こうとするとき、
・・・実際、生きものに違いないのだが、その樹に注意力を全部集中して、その樹が生きてくるようになるまでやり続ければ、その周囲の事物はおのずから出来あがってゆくものだ」。
これらのことばからは、ゴッホが、おのれが辿りつつある道に関して、次第に確信を深めている様子がうかがわれます。
そればかりではなく、これらのことばは、この当時のゴッホのデッサンの、不器用で荒々しい手つきで対象の核心を一挙につかんだ、そのくせ一種独特の繊細さをそなえた特質をおのずから示していて、いかにも興味深いのです。
一家の者たちは、こういうゴッホの姿を見て、ほっとしたことでしょう。
従兄にあたる人気画家マウフェほどにはなれぬにしても、この仕事で何とか暮してゆけるようになれれば一安心というわけです。
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